Short Novel
□◆源氏なキミ◆第三編
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第三編
第一章<ブルーとグレー>
『好き。好きなの、キラ』
授業が自習だった為、出る気になれず保健室で寝ていると隣から聞こえてきた声。
聞こえてきた名前と内容に体が音をたてて固まった。
いま、いま…なんと――?
唇が震えて声をあげることがてがきなかった―――本当は、声を張り上げて言いたかった。
駄目、と。
やっと見つけたのに。
たった一人の人。
面倒なことが嫌いなわたくしで、今までこんなことがおこれば、直ぐに捨てていたけれど、キラだけは諦められない。
キラだけは渡せない。
――――シャッ
ベットの上でへたりこみ、決意を燃やしているとカーテンがひかれた。
隣のベットには、燃えるような炎髪の少女。
瞳はグレーだが、煌めき輝きをはなっている。
「こんにちは、センパイ」
威圧的な声、瞳は鋭さを帯びぎらぎらと光っていた。
獲物を見つけ、襲い掛かってきそうなそんな瞳。
それに、この子―――どこかで見たことがあるような気がする。
この子の炎髪、初めてじゃない――…一度、見た覚えが。
「一応、ハジメマシテ…でしたよね?」
「え、ええ」
初めて?―――はて、本当に初めてなのだろうか?
「アタシ、キラの幼馴染みでフレイっていいます」
「えっ……おさ」
『幼馴染み』―――今、彼女は確かにそういった。
「アタシ、キラのこと小さい頃からずっと好きだったんです。そして今も」
「……何を言いたいの」
まるで、虎と龍が睨み合うごとく相手の瞳から視線を外さない。
吊り上がったラクスの瞳は、鋭く背筋が凍り付いてしまいそう。
緊迫―――とは違った緊張感が、二人の間に流れた。
「…アタシ、キラのこと本気ですから」
「っ、だか「だから、負けない―――取り戻す…って言っているんです」
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