Short Novel
□A memory of the amethyst
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―新記録も出せないだなんて…っ!―
―もっと、頑張れたはずでしょうっ?!―
―どうして、もっと頑張らなかったの!!―
『っ……ふ、ごめんなさいっ。ごめんなさいっ――!!』
『…どうしたの?』
『っ……だ、れですの?』
『ぼく?僕はこの大会を見に来てたんだ。君の演技も見てたよ。それよりなんで泣いてるの?君、優勝してたよね?』
『……ゆ、優勝しても駄目なのです。良い記録を出さなくてはいけなかったから、だから皆さん、怒っていらっしゃいましたわ―――ふ、わたくしが……頑張らなかったからですっ。っ……ふぇっーーんっ』
『あっ、あ!どうしよっ、な…泣かしちゃった……!どうしよっ!』
『ふぇえーーーんっ!!』
『あっ、えーっと。――――っそうだ!これ、これあげるっ!!優勝のお祝いッ!』
『っ…ヒック。お、ぃわ…い――ですの?』
『うんっ!そう、優勝おめでとっ!』
『ヒック、お祝…い?いただけますの?』
『僕が見つけた水晶っ!僕の瞳と同じ色だからいつも持ち歩いてたんだけど……君にあげるよっ!』
『……あ、ありがとう。う、嬉しいです』
『………!か、可愛いっ!!君、笑うと凄く可愛いッ』
『………っ、貴方も笑うと素敵ですよ』
『?ありがとう―――――あっ!!お母さんだっ。もう、行かなきゃっ!』
『あ、あの!』
『じゃあねっ!バイバイっ』
『不思議な…方。でも、初めて言われましたわ――おめでとうって…』
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