憧憬之華
□弐拾捌
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《憧憬之華・弐拾捌》
諦めていた夢がもう目の前に、掴める距離にある。
力の無い皇子ではできなかったことも今なら、今だったなら。
僕の命を狙った義母たちの勢力は粛清した。
皇帝に即位した僕の邪魔をする者はもういない。怜悧冷徹冷酷と恐れられているのは伊達じゃない。
特別女官としてラクスを寵愛しても手を出せるはずがない。
僕に睨まれた者の末路を、朝廷の臣下たちは知らないはずない。
だから、だから。
特別女官に任命するまで、誰にも知られる訳にはいかない。
もう遠く離れていることなど堪えられない。
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