憧憬之華

□弐拾参
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《憧憬之華・弐拾参》











どうして、と尋ねた貴方に、何と言えばよかったの。





あの日々を、あの方の妻だった四年間の真実を告げて、信じて下さった?



わたくしは形だけの妻で、妻としての役目を果たしていなかったと言って、信じて下さるの?







わたくしが嫁いだ蓬蓮総督アンドリュー・バルトフェルド様は、既に三人の妻を持っていた方だった。





しかし妻として彼に全て捧げていたのは、第一夫人のアイシャ様だけ。




他の二人は、ややこしい事情を持った方たちで、元娼婦で男嫌いだったり、賊に攫われ純潔を失い親類かり絶縁されてしまった貴族令嬢だったり。







アイシャ様以外、男に触れられるくらいなら舌を噛み切って死んでやるというような方たちだった。






わたくしがそれを知ったのは嫁いで一年経ってからだった。






華や昊ばかり見ていたわたくしは、特異なことを気づけなかった。








夫となった方とは食事の時に顔を合わせるだけで、床を共にすることがなく、妻を複数持つとそうなるのだろう、と処理して気にすることもしなかった。





触れられないなら、それはそれで良い。









結婚しても、彼以外に、愛した男(ひと)以外に触れられるなんて受け入れられていなかったから。





唇も躯も、誰にも触ってほしくない。




もしその時が来たら、自害してしまうかもしれないと、漠然と考えていたくらいだった。








だから嫁いだ家を知ろうともせず、与えられた部屋に籠り、華や昊ばかり眺める生活を送った。





自邸にいた時と余り変わらない生活だった。








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