憧憬之華
□弐拾壱
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《憧憬之華・弐拾壱》
期待していたわけじゃなかった。
望んでいたわけじゃなかった。
望んでいたのは罰。
裏切り者への罰を望んでいた。
だから何をされても仕方ないと思う。
傷つけられても仕方ないと思う。
過去の罪が生み出したモノに、後悔はしたくない。
四年の結婚生活で手に入れたモノは、今でも掛け替えの無いモノ。
結婚をわたくしは後悔しない。
結婚という選択をしたことを後悔しない。
後悔は貴方を傷つけてしまったことだけ。
貴方を拒絶してしまったことを、今でも後悔している。
あの夜、酷い言葉で貴方を突き放すべきじゃなかった。
たくさんたくさん話して、納得してくれるまで話すべきだった。
貴方が嫌いな女に、なるべきじゃなかった。
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