憧憬之華
□弐拾
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《憧憬之華・弐拾》
赦せない。
その顔も、姿も。
過去を忘れた君が赦せない。
清々しい貌で何故、後宮にいられる?
君にとって過去は、あの日々は、どうでもいいことなの?
平気で僕の前に来られるくらい、僕の側室に仕えられるぐらい、もう何でもないことになってしまったの?
僕はまだ引きずっているのに。
君の面影を追ってしまっているくらい、忘れられないのに。
―――赦さない。
裏切ったことも、嫁いで行ったことも、他の男に身を委ねたことも。
――僕以外に傷つけられることも。
君を傷つける権利があるのは僕だけだ。
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