月無夜

□月無夜
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第五夜《信ノ夜》













「ひとぉつ、ふたつ、…みっつ」










白い繊手が赤い珠を数えていた。







桃色の長い髪は、白いシーツの上に散らばっている。



















「――ねえ、あとどのくらい?」










彼女はおもむろに言葉を紡ぐ。










一人だった空間に、人畜無害な笑顔を持った少年が現れた。















「…わかりません」







少年の答えに彼女は眉根を歪めて、不機嫌そうに珠を弾いた。

















「わかったわ。…また、殺しにいくから」













垂れたくせのない髪を、高い位置で括った彼女の両耳には弾いた珠より小振りな赤月晶が美しく輝いていた。











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