月無夜

□月無夜
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第四夜《深ノ夜》














「ぅっ‥‥き、ら」









息苦しさにラクスはうっすらと瞳を開けた。






深い闇に何があるのかは定かではなかったが、自分の躯に絡み付いているものは何だか察することができた。










植物の蔓のように絡み付いて離れないのは、キラの四肢だった。どこにも逃がさないように、きつく閉じ込められていた。

















「……」







ラクスはキラの腕の中にいる時だけ、安心を感じられる。一人でいると、彼女は死にたくなるのだ。






深い業が、ラクスを覆いつくそうとして、死にたくなるのだ。













それをキラが必死につなぎ止めている。







だからキラが近くにいる時だけは、腕の中にいる時だけが、死ななくてすむ唯一の時間だった。
















「ら、‥くす」







キラの寝言がラクスの耳朶を甘く刺激した。






ラクスはキラの胸に自分の顔を押し付けた。押し付けると、それに反応するようにキラの腕の締め付けが強くなった。
















「縛っていて。…キ、ラ」








深い闇が包み込む前に、わたくしを捕まえて縛っていて。






貴方の腕の中にいさせて。















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