絶対零ド
□絶対零ド
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第十三話―決意―
―――ピチョン
「……っ?!」
ラクスはゆっくりと瞳を開けると、ズキリと、鈍い痛みが背中に走った。彼女はくらくらする、頭を押さえながら起き上がると、寝ていた場所は暗くて、記憶が追いつかない。
鍾乳洞のような洞窟に、裸で、たった一人。
しかも、覚えのない痛みがズキズキと背中を刺激していた。
「っ、あ!な、なに」
何も思い出せない状況に、彼女の頭は冷静さを失っていた。
「…いたっ」
痛む背中を触れば、背中にあるはずのない感触がし、ラクスの顔色が青ざめる。
「こ、こ…れは」
細い枝のようなもの。
「っ…矢――」
それは間違いなく矢だった。
先端はどうやら背中に食い込んでいるようだった。出血はないが、失った血の量のせいか、軽い貧血に陥っているのだと、冷静さを取り戻してきた頭で理解すると、首だけで周りを見回す。
「…こ、こは。どうしっ」
『ラクスッッ!!!』
『ラクス様ッ!!?』
突然、頭の中でフラッシュバックが起こり、ラクスは目を見開き、痛みに眉を歪めた。
「そう…でした。何者かに、攻撃されて――それで、川に…ッ」
帰朝途中、馬車が故障し、仕方なく騎馬で帰ることを選んだ。
キラが乗ってきた馬車も、ローレンス防衛の際の流れ矢に当たったのか使用不能になってしまっていた。
キラも騎馬での帰朝となり、何もない道で留まるわけにもいかなかったのだ。
だが帰朝途中に、何者かの攻撃によりラクスの背中に矢がささり、そのまま運悪く流れの速い川に落ちてしまったのだ。
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