TIR NA NOG

□V-]U
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「‥ラ、クス」



「キラ」





ああ、なんでこんなに、彼女は美しいんだろう。思い悩んでいて尚、それは陰らない。


一層の輝きをもって僕を引き付ける。


目を離すなんて、そんなことできない。







「……んっ、」




浴室まで辿り着かずに、キラはラクスを壁際にあったテーブルに浅く腰掛けさせる。

テーブルの上にあったタオルの山が床に落ちるがお互い気にならなかった。気持ちが高ぶって瑣末な事などに煩わされない。



キラが膝頭を軽く押し上げれば白い柔脚は自ら重力に逆らってテーブルの上に上がった。



広がった脚の隙間に入り込み、キラはラクスとの距離を詰めるとその唇に再度吸い付く。




催促するまでもなく開いた唇に舌を進めれば柔らかな舌と直ぐに絡まった。数日の間に積もった寂しさは恥ずかしがり屋で淑やかな恋人を大胆にするらしい。




普段なら入浴前の悪戯はヒラリと躱されてしまうのだ。恋人の躯に残った薄い下着を支えるのは細い紐だけで、結び目を解けばハラリと宙を舞った。








「…ん、僕が居なくても、紐にしてくれてるの?」



「っ、あぅ」





最初の休暇の時、キラが是非着てほしいと希望したランジェリーとは別に普段使いできるようなものも数セット購入していた。


二人で一緒に選んだのだが、ラクスが選択できたは色ぐらいで形や素材はすべてキラのチョイスである。




レースや紐が多いのは何故かと尋ねた恋人にキラは満面の笑みで趣味、と言った。








「僕コレ好き」




浮き上がった恋人の腰骨をキラは下からなぞり上げ指に絡まった紐を弄ぶ。








「…ど、して?」




ラクスの上に覆いかぶさった格好のまま、キラは機嫌良くニッコリと微笑んだ。

テーブルの上に片脚を上げ身につけるのは片側だけ乱れたショーツのみ。上目でこちらを見つめる蒼穹の眸はトロンと蕩けていて頬は薔薇色に染まっている。



この上なく厭らしく淫らな光景を自覚しているのだろうか、とキラは思った。







「だって、可愛いし…」



「ぁ」






キラは残った結び紐を摘まむと、もう片方の手で白い滑らかな肌を撫でながら敏感に躯を震わせるラクスの耳元で囁いた。









「脱がせるの簡単なんだもん」





何の力もいらない。簡単に解けて消えてくれる邪魔物は好きなのである。










「そんなりゆ…っひゃぁ」


「そーだよ。でも僕にはすっごく重要」





知らなかったどうしようもない理由にラクスは抗議しようとしたが耳殻に舌が這う快感が背筋に走り悲鳴を上げてしまう。


ヌルリとした感触と微かな音は、理性に靄をかけて余計なことを考えさせてくれない。









「ぁ‥っあ、あ」



「もー相変わらず耳弱いんだからぁ」



「キラッ…っ!」





揶揄を含んだ声音に反論したくなったが、与えられる快感に息が詰まった。どこをどうすれば力が抜けてくにゃくにゃになってしまうのか、自分よりも詳しい恋人には敵わない。



じわじわと体温が上がる。キラに触れられた所からゆっくりと。


耳朶が頬が唇が。首筋が鎖骨が胸が。



指が通ったところを、恋人の唇が丁寧に辿っていく。逃げたくなっても背中は既にタイル壁にくっついていて、どこにいけない。




僅かに伏せられた瞼から煌めくアメジストの瞳が綺麗で、でも何を求めているのかが明確に分かってしまう。








「はっ‥ぁっ、あ…んん」





ちゅるりと赤い舌が胸の頂に絡み付く光景が卑猥で直視できない。何度躯を重ねても羞恥心は消えずに残っている。








「ん、ん…っぁ」






堪え切れずに視界を閉ざすと快感が増したように感じられ、ラクスは喘いだ。


見えなくてもキラの動きが分かる。焦らして意地悪な触り方をしてくる日は、長い日である。




まだまだ宵の口。明日の公務は午後から。


これから与えられる快感を想像してラクスは身震いした。意地悪な日は触り方は意地悪でも、それ以外はすべて甘い。べたべたに、どろどろに、甘やかされる。




理性を無視して大胆に振る舞えば何でも叶えてくれるのだ。






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