TIR NA NOG

□V-Y
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C.E.75、9月。



夏に設定されたプラントは残暑の中、ザフトアカデミー入学式が行われた。










「――うゎ、結構人いる」





緑のアカデミーの制服を身に纏ったキラは、会場に入るなりその人の多さに驚いていた。







「・・みんな若いなー」



自分が童顔であるということも忘れ、賑やかな雰囲気をかもしだす同期たち。


プラントにおいての成人年齢は14歳。

成人からの入学が許可されているアカデミーにおいて20という歳は少しばかり上であった。









「…えっと、席は」





寮内で配られたプログラムデータと見比べながら自分の席を見つけたキラは、座るなりふぅと深く息を吐いた。


20歳になって入学式に挑むことになるとは正直予想していなかっただけに、緊張というものを体験しているのだ。




アカデミーは全寮制である。准将としての公務もあるので全て一緒にとはいかないが、団体行動などで他人と関わることが多いのは確かだ。










「――隣?俺セイ・ローランド。今日からよろしく!」



「あ、…僕はキラ・ヒビキ。よろしくね」





キラ・ヤマトの名は大々的に報道されている訳ではない。しかしそれなりには知られている。混乱を避けるためファミリーネームを変えて入学するのは決まっていた。


まさか一番最初の姓を名乗る機会がこうして巡ってくるとは、とキラはなんだか不思議な感覚がした。








「俺はニック。よろしく」





自分の近くに座っていた数人に話し掛けられキラも同じように挨拶した。









「キラってどこ出身?俺たち二人ともヤヌアリウスなんだ」



「僕はオーブだよ」







簡単な自己紹介をしていると、ざわりと周囲の音が一際大きくなった。何事か、と思う前に視界に飛び込んできた色彩にキラは一瞬胸を掴まれる錯覚を覚える。









「うわ、ラクス・クライン」



「…クライン議長」



「今日って来る予定だったんだ。知らなかった」






会場の衆目を集める先には桜色の髪を高く結い上げ黒を基調とした執政服を纏ったプラントの為政者の姿があった。白服と赤服、ザフトのエリートの証である護衛たちと共に、アカデミー関係者と会話している。







「‥‥‥」





あそこにいるのは紛れも無い恋人だ。



昨日だって裸でくっついてた。


それなのに、まだ遠くに感じる時がある。





遠くに感じるからこそ、心が掴まれる。




いつまでたっても。








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