TIR NA NOG
□V-W
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半年という派遣期間を終えオーブからの技術者は帰国することになった。国の代表であり友好の証でもあった彼らの迎えとしてオーブ本国よりアスラン・ザラ准将が訪れ、評議会議員との会談をする。これは公式なものでマスコミも大々的に報道した。
かつての英雄にマスコミもプラント国民は沸き上がった。議長であるラクスとアスランが握手を交わす際には目を開けるのも辛くなるほどのフラッシュがたかれる。
夜に開かれるパーティーでも何台かのカメラが入り報道される予定になっていた。
挨拶や歓談の様子を一通りカメラに収められるとマスコミは退出し、アスランはやっと気がねなくラクスに近づいた。
「――ラクス」
「アスラン、お疲れさまです」
給仕から受け取ったグラスをラクスに手渡しアスランは苦笑した。婚約者であったいきさつからマスコミは二人の姿を欲しがった。
友として良い関係を築いている二人を色眼鏡無しに見る者は少数派である。
婚約が解消になっていても中々その事実が浸透していないプラント国内で、余計な混乱を招かないためにもできるだけ距離を取っていた。
「キラとご一緒ではありませんの?」
首を傾げるラクスにアスランはすいと眼差しを違う方向へ向けた。
「オーブの将校たちです。キラも大変のようですね」
「あら、まぁ」
少し離れた所ではキラがオーブの将校たち数人に囲まれ困った顔をしていた。
「この機会にオーブの軍籍から抜くように働き掛けたのですが、反対意見が多く受理されず、カガリも困っていました」
「キラは人気者ですわね」
ふふ、と軽やかな笑い声が聞こえ、アスランは視線をラクスに戻した。
彼女の眼は今だキラに向いている。
一人の将校がキラに縋り付いている姿に、ラクスは微笑んだ。
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