TIR NA NOG

□V-U
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鼻にツンとくる臭いにシンはうっと眉を顰めた。すぐ顔に出てしまうことを幾度となく上官に注意されてきた経験のある彼だが、幸いなことに今の上司は気にも留めない性格である。








「キラさ‥隊長。何すか、この臭い」




「あーごめん。湿布貼ってる」






評議会ビルに戻って来たキラは部下のあからさまな嫌な顔に苦笑いをこぼす。


戦闘訓練でついた打ち身であちこちに貼った湿布の異臭はきちんと着用している軍服の下からでも放たれていた。










「またっすか。ジュール隊長も容赦ないっすね」







合流したシンと並んで歩きながら自身のオフィスに向かう。途中すれ違う面々が不思議そうに鼻をすんと鳴らす様に、キラは少しだけ申し訳なくなった。


本人は戦闘訓練の度に湿布を貼るので最近ではすっかり異臭に慣れてしまっている。









「で、体術の方は?無事合格できそうなんすか?」



「うーん。攻防のバランスが悪いってさ」



「あー」







ナイフ戦の訓練はシンがイザークの代わりをすることもある。訓練用のゴム製ナイフを使うのだが、キラは避けてばかりで他は軍人らしさのかけらも感じない。



ナイフではなくただの棒を持っているかのように、攻撃をしてこないのだ。


驚異のMS操縦術を身を持って経験しているシンは、どこかでキラのことを逞しい軍人という先入観があった。




アスランや本人から過去のいきさつを大まかに聞いていても、天性の軍人っぽさがあると思っていたのだ。


こうして一緒に行動するようになってもうすぐ半年になる。訓練をするうちにやっとフリーダムのパイロットに持っていたイメージがガラガラと崩れていった。






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