TIR NA NOG

□V-T
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気候がすべて管理されたプラント。




温度も、天気も、コンピューターによって決められている。


地球のような不確かなものではない。





月やコロニーでの生活が長いキラにとってオーブでの2年間はとても不慣れだった。



スコールでびしょ濡れになったり、暑さに茹だったり。そんな2年間だった。


たった2年でも、そんな気まぐれに慣れてしまったキラは懐かしく思う。





暑い日は特に。



太陽の光を恋しく思う。










「――あぁつぅういぃぃーーッ」





C.E.75、8月。



真夏に設定されているプラントは蒸し焼きになるくらいの暑さだった。


白い隊長服に身を纏うキラは、外に出た途端に悲鳴を上げる。


詰襟を解いて汗で蒸し上がった身体に風を送りたいが、仕事中につき自粛しなければ、隣の同僚にお説教されてしまう。


夏真っ盛り、という設定気候の中、汗一つ見せない完璧な出で立ちのコツを教えてもらいとキラは思った。











「おい、キラ・ヤマト。しゃんとしろ」



「・・ごめんね、イザーク」





もう半年の付き合いになるのにフルネームで呼んでくる同僚には逆らわない。これが半年で学んだことである。


幼なじみみたいにはちょろくないので、キラは丸まっていた背を伸ばした。











「今日は何の日だっけ?」





評議会ビルを出て、車に乗り込む。




運転手付きなことにはいまだ慣れず、キラはミラー越しに頭を下げた。











「日程ぐらいいい加減記憶していないか」





呆れ顔で溜め息をつくイザークは、ごめんねと呟く同僚に更なる溜め息を誘われた。


この甘ったれた顔の男が、戦場でその強さから最強やら伝説と謳われたフリーダムのパイロットだと、時々信じられなくなる。









「今日は体術だ。痣の覚悟はしてきたか?」



「ん〜逃げるのはアリ?」



「それでは訓練にならんだろうがっ!」






今日も賑やかだなぁ、と後部座席の様子を窺いながら運転手は軍施設を目指した。






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