TIR NA NOG

□V-T
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「それでっ!…引っ越し、考えてるんだけ‥ど、ぅわぁっ!」





軍施設訓練場でイザーク相手に組み手をしながらキラは最近の世間話をする、それが常となりつつあった。組み手といってもイザークの攻撃を紙一重で躱すのみであったが。









「こぉらぁああっ!真面目にやらんかぁっ」



「だって痛いじゃん!」





ビュッと音を立てて繰り出される拳を受け止めるのだけでも、それなりの痛みを伴うだろう。相手の抜群の反射神経ですべて避けられてしまったイザークは攻撃を止め、額に手を宛てうなだれた。










「これではナイフ戦同様、訓練にならない」



「…ごめん。付き合ってくれているのに」







あと少しでオーブからの技術団一行は帰国することになっている。技術者という名目と白服隊長という立場でいたキラも、あと少しで白服隊長だけとなる。


このラクスを欺くこととオーブのお偉方を黙らせる捻り技も終わりが近づいていた。





無論オーブに戻るつもりがないキラは、このまま残ることになるのだが、問題が皆無ということではない。






キラの立場は非常に不安定だった。





二度の大戦を終戦に導いたモビルスーツのパイロットという功績は誰もが認めるものである。しかし功績だけでは到底受け入れ難いのは当然で、疑問視の声は上がっていた。




キラ本人が士官学校を出ていない素人軍人だということも、立場を弱くさせる点である。


いくらMSの操縦技術に長けていても、その他は未訓練。一般人レベルでは火急の際不安なのも確かだった。






准将という高い地位にいるのにそれは不適合、というのが代表的な意見である。




准将という地位が名前だけ、というのは承知でもそういった声は止まなかった。







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