TIR NA NOG
□雪解けの抱擁、嘘つきの涙V
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『・・・フリーダム、が』
『あいつが、墜とされるなんて』
ザフト内部からの訃に、心臓が凍りついた。
エンジェル・ダウン作戦の内容と一緒に届いたフリーダム撃墜という情報。
作戦がザフト内部でも最高機密であったため、報告に上がるのが遅れてしまったらしい。
フリーダム撃墜はザフトでも隠しきれない騒ぎになっているらしく、ターミナルより先にエターナルに情報が回ってきたのだ。
ラクスは服の下に忍ばせている指輪にそっと手を置いた。固い感触は、確かにソレがそこにあるということを主張している。
(‥‥フリーダム、が、・・・き、らっ)
母の指輪は今、自分の手にある。
だからキラが、フリーダムが、墜ちてしまった。混乱した頭で唯一纏まった答えはそれだけだった。
『ターミナルに連絡を取れっ!AAの残骸はまだ見つかっていないんだ!詳しい状況を知りたいっ』
艦長席で色を無くしたラクスは座っているだけだった。バルトフェルドが直ぐさま指示を飛ばし、ブリッジが騒がしくなる。
動揺した狼狽えたみっともない姿を晒さないだけマシだった。取り乱してしまったら、周りに不安が伝染する。
クライン派の盟主としてのラクス・クラインはそんなことしてはいけない。
ラクスは溢れそうになる涙を歯を食いしばって必死に堪えた。まだ泣いてはいけない、泣くなと言い聞かせる。
泣いていい場所は、ここじゃない、と何度も何度も心の中で呟いた。
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