TIR NA NOG

□黎明の光、明けた蒼穹T
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『――貴方を見つけて、わたくしは幸せになりました』





その言葉の響きはどこまでも優しくて、胸に浸透していった。



長い年月を経た今も、それは変わらない。





君の想いは真っ暗闇だった僕を照らしてくれた。




君が僕の光だよ、ラクス。






《黎明の光、明けた蒼穹T》






「……ぃっ、そがしーーッッ!!」




声に出した所で目の前の書類の山が減るわけではない。しかし言わずにはいられない。


シンは机に盛り上がった紙の山脈を全て焼き棄てたい衝動に駆られるが、そんなことをしたら銀髪の恐ろしい上司の顔を思い浮かべ、その手を止めた。






書類を片付ける事務仕事なんて俺には無理なんだよ、とぶつぶつこぼしながら渋々仕事を再開した。






そもそも彼がこんなに仕事を抱えている理由は、直属の上司の性格が原因だった。


机を占領している書類のほとんどは、上司の仕事である。しかしその上司の手は違うことに使われ、余分が無い。







「ごーめーんー」




紙の山の向こう側から間延びした上司、キラ・ヤマトの声が聞こえる。



同じ部屋に居ながら顔が見えない状況にシンは溜め息がこぼれそうになった。








「キラさぁーん。どんなかんじっすかぁ?」





大声で呼び掛け合う構図も阿保らしいが、仕方ない。一度机から離れたらもう二度と戻りたくなくなる病が発症中だ。



誰に嘲笑されようがそうなのだからどうしようもない。









「ん〜〜、微妙ー」





「‥‥頑張ってくださーい」






カタカタと少し強めのタイピング音が部屋中に引っ切り無し響く。その速度を耳にしながらシンは書類を再び手に取った。







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