§Secret§
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ラクス・クラインが妊娠した。
キラの子どもを?
あの女が?私ではなくて、どうしてあの女が。私にはできなかったのに、どうしてっ。
キラを最後まで信じず、手放した女なんかに渡せない。
キラは私のなんだから。
『俯いていたら、可愛い顔がわからないよ』
形だけの誕生日会。
不仲な両親の間に生まれ、愛情を貰えなかった私。幼いながらに人を信じることができなかった。
利益にしか興味のないパパの知り合いも、やっぱりお金が大好きな人間ばかりで、その子どもらも私に媚びを売るようにしつけられていた。
だから誰も信じれなかった。
誰もかもが気持ち悪くて、見たくなかった。だから自然と視線が下に向いていって。
でもそんな時に声をかけてくれたのが、キラだった。
キラの目は綺麗だった。
初めてだった。
私の家の会社より大きい会社、ヤマトコーポレーションの跡取り息子。大企業の一人息子なのに、目は汚れていなかった。
金って感じがしなかった。
キラは私の世界を壊してくれた。
『知ってる?下を向いているより、上を向いていたほうが幸せになれるんだよ』
『あ、あな‥た』
『僕の名前はキラ・ヤマト。よろしくね』
そう。キラが私の世界。
あの日から私は始まったの。
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