§Secret§

□§Secret§
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「…クライン医師、どうしたんすか?」







ひょっこりと洗面所を覗いたシンは、ラクスの姿を見て慌てた。











「医師ッ!!大丈夫ですかっ」





「‥シ、ン君」








「ま、待ってて下さい!今誰か呼んでっ」









誰かを呼びに行こうとしていたシンを、ラクスは呼び止めた。



原因はわかっていたからだ。










「待ってっ。待って下さい!わたくしは大丈夫ですからッ」






「でも、顔色がすごく悪いし」






「お願いします、誰にも言わないで」








懇願してくるラクスにシンはどうしようもできなかった。自分の身体をわかっているのは、ラクス本人だというのも解ってはいたが、正しい対処をしようとしていないのも解っていたからだった。












「いったい‥何、が」





シンは洗面所内を見回していると、あることに気づいた。








ラクスの顔が洗ったように濡れ、またどことなく酸のような香りが漂っていることに。







すべてを総合してみると、ラクスが嘔吐したという事実が浮かび上がった。












「――医師、まさ‥か」









嘔吐、なんて症状で推測される原因なんてものはたくさんある。






しかし、なんとなく浮かんだそれを、シンは自然と口に出してしまった。















「し‥ん、く、んッ」








シンの言葉を耳にし、ラクスの瞳が絶望に染まる。なるべく広めたくなかったことを、早々に知られてしまい、どう対処すればいいのかわからなかった。












「医師、いつからっ」











ラクスの手首を掴んだシンはその細さに驚愕した。自分が入院している間にもラクスが痩せてしまったのだと思った。










「お願いっ、シン君。誰にも、言わないで下さいッ。誰にもっ」







縋るようにシンに頼み込んだラクスの瞳は本気で、シンは頷くことしかできなかった。








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