月無夜

□月無夜
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第一夜《月ノ夜》










彼女と始めて逢ったのは月が明るくて、泣き出したくなるような夜だった。










月無夜
















ああ今日も月が明るい。




こんな夜は必ず電話が鳴る。




“彼ら”が動き出すから。













「――、はい」







《こんばんはキラ君、お休みの日なのにごめんなさいね。今日出勤できるかしら》







「了解。先攻には誰を?」







《んー。彼女が、行ってしまったの――ごめんなさい》







「‥‥わかりました。すぐに合流します」








――ピッ





携帯をきるとジャケットを羽織りベッドのわきに置いてあった物を取った。





封印された糸で創られた袋ごしからもわかる。




ああ、今日もこれは血に濡れる。




僕の手がまたあの血で濡れていく夜になるんだ。この運命を受け入れたのはいつだっただろう。






生まれる前から決まっていた、重い宿命。













血の中で、血にまみれて生きるのが、僕の生まれてきた意味。





この運命を呪ったこともあるけるど、逃れたくて仕方ないと思ったこともあるけれど、もう逃げない。












彼女がこの世に在るかぎり。







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