月無夜

□月無夜
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「キラくーん。ここの問題おしえてくれるぅ?」




ざわざわと休み時間になったとたんキラの回りを囲んだ。



キラは閉じていた瞼をそっと開けるとノートを持ったクラスメイトが立っていた。




「なんで、僕…?」





夜の“バイト”のせいで、キラは慢性睡眠不足。







授業中も休み時間も寝ないとこんどは仕事に支障がでてしまうかもしれない。一瞬でも反応が遅れてしまえば、ラクスを守りきることができない。







そんなわけでキラにとっては学校での睡眠は欠かせないものなのである。






「‥ごめん。僕、数学苦手」







キラは淡泊にそう言うと再び机に突っ伏した。






「えぇーっ。キラ君、学年次席なのにぃ」





「………」







ああ、うるさい。



数学の問題ごときで僕の眠りを妨げるな。貴重な学校での睡眠が一分も失われたじゃないか。








だいたい勉強なら同じクラスにいる首席のラクスに。












「…………」




あ、れ。


なんか今、違和感が。








―――ガバッ





「え?!」





「っ!クラインはッ?!」







「き、キラくん?」






冷たくキラに遇われたので自分の席に戻ろうとしていた女生徒は飛び起きたキラに驚き目を丸々とさせた。











「ねぇ、クラインはどこっ?」




「く、クラインさんならさっき出てったけど」






「ッ!」









ガタンと乱暴に椅子から立ち上がったキラは急いで机にかけといた刀袋を掴むと教室から飛び出すように出ていってしまい、取り残された彼女はただ黙ることしかできない。











「なによっ、もう!!」




「アハハ、今日も空振りぃ?残念残念、フレイ」




「う、うるさいわねっ!余計なお世話よっジェシカ」








女生徒、フレイと呼ばれた彼女は顔を真っ赤にさせた。





「だいたいキラ君があの地味なラクス・クラインに対してだけ態度が違うのは有名な話だよ。アンタと彼女がタイプがまるっきし違うじゃない」





「キラ君は別にあの子のことなんか。ほ、ほら!!キラ君、彼女に一度もテストとかで勝ててないしライバル視してるだけよ、きっと!!」






力説するフレイはどこか切なそうで、ジェシカは友人の恋の行方が哀しくならないように、と祈るばかりだった。








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