絶対零ド

□絶対零ド
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―クライン公爵家に、ジュリアナ皇女殿下の姫がっ―




―では、次の皇位は?!―




―無論、ラクス様ただお一人ッ―




―キラ様は、どうなるのだ!―




―そういえば、クライン公爵…シーゲル・クライン殿とジュリアナ皇女との間にはっ―






―ただの噂だと思っていたが―










「……わたくしの母は、ジュリアナ・レイク・ド・ウル・フォーレイル。父は、公爵シーゲル・クラインです―――何か問題ありまして?」





冷たい瞳が、動揺した貴族たちを貫いた。暗い湖の底の碧。抗うことのできない、強い碧。







「我々はラクス皇女殿下に永久の忠誠をッ!!」





がたんと席から立ち、敬う皇族の姫に向かいひざまずいた。






「永久の忠誠をっ!!」




「皇女殿下ッ」






財力にものを言わせ、皇帝という地位を確固たるものしてきた。中継ぎ皇帝と、不満や批判はすべて捩伏せ、皇族とかわらぬ敬い、恐れを、すべてものにしてきた。






手に入らなかったものは、ただ一つだったはずなのに。ジュリアナ一人だけが、今の私に手に入らない唯一のものだったのに。







この娘っ。私が何年もかけて造ってきたものをいともたやすく。









「……皇帝陛下?」



「いや」






これが、選ばれし者、皇族の生まれ持った力なのか。私には到底届かないものなのか。





そんなこと、あるものか。あってたまるか。次の皇位を継ぐのは、私の血をひくたった一人の皇子、キラだけだ。これから先の世に、皇統に残るのは、皇族の血ではなく、私の血だッ。私のものを、いまさら皇族の小娘に渡してなるものか。






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