Short Novel

□眠らないオヒメサマU
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「はい、秘書長。確認、お願いします」


完璧な笑顔と共にラクスに紙を渡すキラ、ところかわってラクスは予想外の展開に少なからず動揺していた。



ひくひくと唇の端を動かし、紙を受け取ると目を軽く走らせた。



だが次第に食い入るように紙を見つめていくのであった。





紙を持つ手は小さく震え、瞳は見開かれオバケでも見るかのようにキラを見た。



キラは相変わらず微笑みを崩しておらず、爽やかな笑みでラクスを見つめていた。





「……こ、こちらでよろしいですわ。ありがとう」



キラがまとめた資料は、まったくもって非の打ちどころのないものであり、正直ラクスが作成したものよりも見やすくまとめられていた。




泣き付くように自分から仕向けたものの、彼の情報処理能力はかなり優れていることにラクスは気付かされた。


“能ある鷹は爪を隠す”ということわざがあるが、その言葉は正にキラのことを指していた。



落胆の色を隠す余裕のないラクスは、ますますキラの困り果てる顔をが見たくなり、ラクス自身もこなすのが一苦労する仕事を次々に言い付ける。






(――次こそはッ!)

だが、ラクスの考えとは裏腹にキラは顔色一つかえることなく仕事を片付けていった。




キラが仕事をテキパキと手際良く片付けていくにつれ、ラクスの表情は沈むばかりであった。





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