Short Novel

□眠らないオヒメサマU
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(イ、イライラしますわ!――どこから、このような自信が溢れてきているのかしらっ)



ムムッとした視線で防戦をひくラクスは、ピーンと頭の真上で豆電球が光った。




それは上司としての特権であり、キラ…部下が逆らえないことであった。



「ホホッ、ごめんなさい。仕事でしたらこの資料、まとめた物を…作っていただけます?至急で」



わざとらしい笑い声を上げると、デスクに積まれている資料の束をキラに渡した。



それは明日の会議で使われる資料であり、秘書長であるラクスは見やすいようにまとめなくてはならないものであった。



そして今はまだ前日の昼前…急ぐ必要はないものであった。




だが、あえてそこは言わずに、満面の笑みで『至急で』と告げる。




ねちねちとした、意地の悪いくだらないことであった。




キラは書類を無表情で受け取ると、パラパラめくり軽く目を走らせると、はい…と返事をしてデスクに戻っていった。




実はキラに渡した資料は既にラクスがまとめてあり、キラが作ってきた資料を批判しようという――まったくもってくだらない作戦なのであった。




悔しがるキラの顔を想像し、ラクスはほくそ笑みながら仕事を続けた。





ラクスは順調に仕事を片付け始めて30分経った頃、キラが数枚の紙を片手にラクスのデスクにやってきた。





(あら、以外に早く根をあげたものですわね…)



想像していたよりも早くキラが泣き付いてきたと確信したラクスは、笑いを必死で堪える。


ところがキラの顔は落ち込む―――といった表情ではなく、どちらかというとすっきりとした、ラクスの想像していた表情とは正反対のものであった。





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