Short Novel
□眠らないオヒメサマU
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キラのデスクがラクスの一つ前に用意され、荷物の整理をしているキラを紙ごし…書類のチェックをするフリをしながら見つめる―――いや、観察する…というほうが、適切なのかもしれない。
ラクス自身、気付かれないように観察しているつもりなのだが、周りにはバレバレであり―――キラのことを狙っていた女性社員たちは、敵わないとしり嘆き、ラクスを憧れている男性社員はキラに羨望の眼差しを送っていた。
(いったい何を考えていらっしゃるか存じませんが、貴方がそうくるならこちらにだって考えがあるのですわ!どうせ、コネで入社したお坊ちゃまなのですから、とことんイビッて差し上げますわ!)
メラメラと炎を蒼い瞳に宿らせ、キラに対抗心を築き燃えるラクスは一人自分の世界に入りこむ。
まったく周りが見えていない―――考えこむと、出るラクスの悪い癖であった。
その為、名前を呼ばれていることにまったく気がつかなかった。
「…ィ……ちょぅ――――クライン秘書長!」
「…――――!!」
ビクゥと派手に驚くラクス、大きな声で名前を呼ばれたと思ったら目の前にはキラの顔があり、酷く驚いたのだった。
だが、クールビューティーでも通っているラクス・クライン。
瞬時に鋼鉄の笑顔を引っ張り出し、相手を見据えた。
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