The world of despair
□The world of despair
1ページ/7ページ
act.13《闇の瞳》
「っ、ごほごほっ…!!」
喉が焼ける。むせ返るような吐き気。
これが、女王であるが為の代償か。
――――――――
「…オマエ達はなにをしておる」
無機質な部屋に、冷めた声が響く。仮面で表情は隠されているが、今の表情はたやすく想像がつく。呆れたような、欝陶しいような。
「我の計画……ここまで、狂っておるとは。任せすぎたのが、間違い…か」
近くにあった、白薔薇を手折り、クルクル回しながら前を見据えた。そこには、俯くアウルたちが座っていた。その様子を一瞥したクイーンは、白薔薇を握り潰した。クシャリと、花びらが数枚冷たい大理石の上に落ちる。
「……あやつらも、何をのんびりしているのやら――とっとと、手土産片手に戻って来てほしいものだ。手ぶらで帰ってくるばかり」
アウルはギリッと、手を握りしめた。爪が食い込み、血が滲むのもお構いなしに。隣では、ステラがオロオロしている。
「―――そろそろ、我を喜ばせる一報がほしいものだな」
トントンと机を叩きながら、鼻を鳴らす女王はただつまらなそうに、オーブの様子…キラたちを見つめていた。
.