The world of despair
□The world of despair
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ラクスはアスハ城近くの高級マンションに連れて来られていた。
実はキラの存在は特殊部隊の一員を始め国や軍の高官にしか身分が明かされていなかった。
今だ身分は王子殿下であり、王太子ではなかった。現王は、ウズミ・ナラ・アスハである。
ウズミはキラが早くから政治に関わる必要がないと判断し、存在を隠すことにしといたのだ。王族だと知られていなければ自由な行動ができるから。王子という身分は自由を奪うだけだった。彼が18になるまでの期限つきだが。
キラはウズミの養子となっているのは理由があった。キラの母親はオーブ星の王女として生まれ科学者であった。そして科学者と結婚したが、子どもが生まれたと同時に夫と共に死亡。子はウズミに保護され、養子としてむかえ入れられた。厳密に言えばだが、キラはウズミ王の孫にあたるのだ。
また信用できる者にしか自身の身分を明かしてはならないと、ウズミにきつく言われていた。
もちろんキラがラクスに身分を告げる気はない。ただ、彼女の頭脳はオーブの技術部に頼られているくらいに有能。軍に信用できる人物はいないのは事実だったし、ラクスなら自分には気付かないことを気付いてくれると感じていた。
キラはラクスをリビングのソファに座らせると、寝室の金庫に閉まってある文書を取り出した。
それをラクスの所まで持って来ると、目の前に置いた。
「……これ、は。なんです?」
「古い文書だよ。……偶然見つけて、なんか隠されてる言葉とかあるのかなと思って」
「…よろしくて?」
「あ、うん」
ラクスは文書をさっと読み上げ始めた。キラは暇なので、キッチンにあらかじめ用意しといた食事を運び出した。すべてが運び終わる頃には、ラクスは読み終わり、紙に何かを書き始めていた。
「何、してるの?」
「暗号を計算しているのですわ。―――これは旧オーブ文字ですが、見られない書き方が所々あります。…なにかしら、インクが他と違うのです。その文字の部分だけを抜き出して、……これに」
ラクスは小さなポーチからコンパクトとクレジットカードを取り出した。
「??」
キラは訳が解らず首を傾げ、ラクスに説明を求めるとラクスはにっこりと微笑んだ。
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