The world of despair

□The world of despair
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夕刻、キラはラクスの家まで迎えに行った。ラクスが住んでいるのは中々高級感漂うマンションだった。ワンフロア丸ごとが部屋になっているらしく、学校で渡されたカードキーで入ることができた。





「…?おーキラ」




部屋に入りリビングまで進むとカガリが食事の最中だった。
それも何十人前あるのではないかというくらいに膨大な量だった。カガリは夢中になってそれを食らっている。






「ラ、クスは?」



キラはさして驚いた様子もなく、視線を巡らした。




コーディネーターは、頭脳、戦闘タイプ限らず、戦闘力が高い者はエネルギー消費が激しいためかその分食べる量も、人より食べる。





「んー?ああ、ラクスは部屋にいるぞ。探してこい!」





カガリは適当につげると、キラの背中をバシッと強く叩いた。
カガリに押された嫌うキラは、部屋を教えてもらい、少し緊張しながらも部屋のドアを引いた。






部屋の中は白いベットが一つと、白いテーブルが一つ置いてあり、テーブルの上には大きな花瓶がのっていた。花瓶には見事に咲き誇った白薔薇が活けてあった。





見事な大輪で傷一つない美しい薔薇は、高貴な存在を際立たせているかのようだった。





「……?だれ」


「あ、ラク…ス」






不意に声がかかり、振り向けばラクスが首を傾げていた。
白いワンピースには薔薇の刺繍が丁寧に施されており、ラクスにとてもよく似合っていた。






「待たせて、しまいましたか?」


「うぅん、そんなことないよ?」




キラはラクスの傍まで寄ると、ラクスの手を取った。




「さ、行こっか」



「はい」




屈託のないキラの笑顔に、ラクスはにっこりと微笑むとキラの手を取った。その様子をカガリは感情のない瞳で見つめた後、ゆっくりと閉じた。





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