The world of despair
□The world of despair
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「…おはよっ!何しけた顔してんだっ?」
古記のことを考えていると、自然と気難しい顔になってしまう。その表情が、カガリにはしけた顔に見えたのか、景気づけにキラの背中を強く叩いた。
「…ごふっ。――か、カガリ」
おもったより力が入ってしまったらしく、キラは咳込んだ。カガリは眩しいくらいの笑みをキラとアスランに向けていた。
「…大丈夫か?」
キョトンと小首を傾げるカガリに、キラは苦笑いを返すしかない。カガリに本当のことを話せないのだ。オーブの内面に関わってくる問題、異星人だった彼女は信用できない。
仲間、と思ってはいるが、そう簡単な問題ではないのだ。シンたちですら、話せないのだから。
苦笑いを返すキラに、カガリは気を悪くした様子もなく首を傾げただけだった。
「…?カガリ、ラクスは――」
「あー…ラクスはだ、な」
キラの問いにカガリは頬を掻きながら、言葉を濁した。しばらく言いにくそうにしていたカガリだったが、キラの視線に折れ重たい口を開いた。
「あーみえて、ラクスは体が丈夫じゃなくてな。最近は落ち着いてたんだが、昨日、吐血して。今はベッドの上」
「っ、吐血…?!」
カガリの言葉にキラは驚愕した。確かにラクスの見た目は病弱な感じだった。けれど、フレイと闘い勝ってしまうくらいなのだから、てっきり体は丈夫なのだと思い込んでいたのだ。だが、吐血とは相当悪いのか…。
「だから、ラクスは特殊部隊に入らなかったんだ。闘えないからな」
疑問だった。フレイより実力が上なのに、何故軍にいないのか。カガリは入隊したのに、技術協力だけなのか。
体が丈夫じゃないから、闘えないのか。
「お見舞いでも、行こうかなー」
ぽつりと呟くと、カガリはニッコリ微笑んで言った。
「その、……必要はないと思うぞ?」
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