The world of despair

□The world of despair
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act.12《矛盾だらけの歴史》







『闇に葬られし記憶――ここに綴られん。』






旧オーブ文字で綴られる歴史。




キラは、焦る気持ちを押さえ付け文字一つ一つ丁寧に目で追っていた。







『オーブ暦、536年。頭脳一族と戦闘一族のコーディネーターが二つに別れた。彼等の星は消滅し、頭脳一族はオーブに。戦闘一族は、他星を征圧。』





オーブ暦とは、今の時代では旧オーブ暦と呼ばれている。現在の新オーブ暦は1464年―――戦闘タイプのコーディネーターが姿を消した年に暦がかわったのだ。





記されいる言葉は日記のように、書かれてはいるもののキラが知りたかった歴史が詳しく書かれていた。








『力では敵わない為、頭脳一族はオーブと協同で武器を創った。全ては、彼等を消し去るために。』





『そして、その武器を使い闘いは勝利を収めた。力は強くとも、知的レベルは低い。地にひれ伏した戦闘一族を見た王は、命令を下した。―――“戦闘一族を使い、宇宙を統一させよう”と。』






『バラバラになっている宇宙を、一つにまとめ、“力こそすべて”になっている宇宙を改めさせよう。全ては戦争を消し去る為に。』






『闘いを、闘いで消すために王は戦争一族を使い宇宙を一つにする為、動き始めた。』








そこで、一枚が終わった。一枚読んだだけで、伝わっている歴史と違うことが理解でき、キラは眉根を寄せた。先祖の王が、こんなことをしているなど思ってもみなかったのだ。






オーブ代々の国王は、それそれは立派だと謂れている。それぞれが、素晴らしい行いをしている賢王なのだ。だが、この古記に綴られる言葉をみる限り賢王なんて思えない。







強制的に戦闘タイプのコーディネーターを使い、無理矢理‥宇宙を統一させる。






―――そして、全て悪いのは戦闘タイプ。




卑劣すぎる、やり方。





戦争を無くすために、戦争をしかける。





全ては、平和のために――と。





綺麗ごとにもならないような、言葉。キラは、次のページに手をのばした。






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