The world of despair
□The world of despair
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『父に代わり、わたしがこれを記す。――――父が考えていたことは、的中した。オーブは、戦闘一族を使い、宇宙を統一した。そして、用済みになったコーディネーターには、一つの星を授けた。だが、その星は直ぐにブラックホールによって飲み込まれた。』
『偶然の出来事――――オーブはそういって、事を大事にせず。人々からコーディネーターのことは直ぐに薄れていくだろう。』
『それは父が恐れていたコト。我々の人類の都合で、歴史を揉み消すなど禁忌にあたいする。』
『妻を見ると、オーブの嘘が鼻についてならない。戦闘一族である妻だが、ちっとも危険ではない。なのに、どうしてオーブは……』
記す相手がかわったせいか、内容にばらつきが出始めた。オーブに対する不満や疑問が何枚にも渡り続いていた。そろそろ、読み取る歴史が尽きかけキラが読むのを止めようとした時、ある一文に目が行った。
『今朝、妻が変な事を言った。どうやら妻には力こそ弱いが予知夢が見える能力あるらしい。両族のコーディネーターに稀にそういった者が生まれるらしい。』
『妻は、虚ろな瞳で語った。』
「…気高き白薔薇が漆黒の闇に染まるとき、哀しみの謡を奏でる。哀しみを奏でた者は、地に落ち、血を流す。愛した者は、嘆き哀しみ。…本来の姿を見せるだろう」
口にしたのは、予言だった。
歴史書にも、やたらと黒薔薇と白薔薇が多く描かれていたがそのことに関係しているのだろうか?
「……気高き白、薔薇――」
なんのことだか、さっぱりわからない。何に関係している?
コーディネーターには薔薇が関係しているのだろうか。生まれてくるのは疑問だらけ。
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