Short Novel

□The girl who is Cinderella
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家のプールの横で、ラクスの継母フィオナは『サーモンでダイエット』と書かれたダイエット雑誌を広げ双子の娘たちのシンクロを眺めていた。お世辞にも上手とはいえないそれに、シンクロを教えるコーチもぐったりだ。






「うちの娘たちにこんな才能があるなんて、信じられるー?」




だがフィオナはよほど娘たちが可愛いのか、それに気付かない。コーチは、口元をひくひくさせながら言った。





「し、信じられませんよね…ホント」




コーチも認めていると解釈したフィオナは、グロスをベッタベタに塗った口で笑顔を浮かべた。だが、次には耳を塞ぎたくなるようなあのキンキン声でラクスを呼んだ。







「ラクスッッ!!」



「今、行きますッ」






ラクスはフィオナの朝食片手にやってきた。





テーブルに、朝食が乗った皿を置けばフィオナはラクスに言った。






「これは頼んどいた、ノルウェーのサーモンなの?オメガ3脂肪酸とらなきゃ」





手にしているダイエット雑誌からの情報なのか、ラクスにはちんぷんかんぷんのことだ。








「最高のサーモンですわ」




ラクスが曖昧に笑うと、フィオナはサーモンをフォークで刺し口の中にほうり込んだ。




くっちゃくっちゃと、下品な音をたてながら味が分かるわけでもないのにサーモンを味わう。しばらく噛んでいると、納得したのか言った。






「んー…そーみたいね。これ輸送費、バカ高いのよー。ノルウェーってドコ…?」





あまりに低レベルな脳みそに、ラクスは苦笑いしかできない。隣では、下手くそな双子たちに必死で教えるコーチの声が。












「こうっ?!」




コーチの指導に、双子たちも必死でついていく。だが次には、水面にブクゥと大きな泡がたち、奇声を上げた。







「ちょっと!ヤダァッ!!」



「しょうがないでしょ、お腹の調子が変なんだもーん」





双子の姉、ブリアナが妹ガブリエラに文句を言えばガブリエラは開き直る。ブリアナは頭にきたのかガブリエラの頭を掴んで言った。






「変なのはアンタの頭の調子よっ!!」





そのままガブリエラを水の中に沈める。




喧嘩を始めた双子たちに、コーチは笛を鳴らし喧嘩をする双子たちに言う。







「やめて、喧嘩はダメッ!やめてっ」





そんな光景を、ラクスは呆れながら見つめているとフィオナが言った。









「なーに、ぼーっと突っ立てんのよ。早く仕事行って!」





ラクスは、フィオナなの命令に苦笑いをすると言いにくそうな表情で言った。






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