TIR NA NOG

□Midnight Honeymoon
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「……あ、あのっ」




真っ赤になって狼狽える恋人に噴き出しそうになるのを堪えたキラは立ち上がり、ラクスの方へと回り込んだ。






「っ!」



「ラクス」




綺麗な紫苑の瞳を細めたキラに突然頤を持ち上げれ柔らかい唇が強く押し付けられる。


ラクスは喉の奥で悲鳴を上げた。



真昼間に似つかわしくない深く濃厚な口づけに逃げる腰に腕を回され、熱い舌に翻弄される。仕事場での過度な接触は再会時以来控えて来たというのに、自宅でもあまり経験のない熱烈なキスにラクスは受け身でいるしかなかった。








「ん、んっ‥!」




少年らしいとつい先程まで思っていたのに、巧みな舌使いや腰や臀部を撫で回す手に甘さなどどこにもない。成熟した男そのものだ。






「‥っふ、んぁ」




逃げても逃げても絡まる舌。


酸素すら貪られる苦しくも甘いキスにラクスは涙が滲む。







「っは‥ラク、ス」



「き、きら‥っ」




舌と舌を繋ぐ淫らな銀の糸にトクンと胸が鳴る。照明が少し暗めな議長執務室の中で淡く輝く恋人の瞳から目が逸らせない。






「もう逃げないでね。てか、逃がさない」



「は、はい」




有無を言わせないキラの低い声音に、ラクスは何も考えずに頷いてしまった。


恋人の唇についたお気に入りのルージュがセクシーで、胸の高鳴りが止まらない。






「じゃ、残りの仕事頑張ってね」




「‥‥‥‥」








今夜いただきます、と宣言されたのに羞恥を感じるのではなくときめきを感じている自分も相当重症だ、と、ラクスは柔らかい椅子に沈み込みながらぼんやりと思った。






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