NO NAME

□Y-Y
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「――ラクス様は?」



「っ、ぅ…?」



「ラクス様は、キラ様を愛しておられるのですか?」






答えはきっと最初からあったのだろう。


シホはそう思う。






キラが素直に気持ちを受け入れ、ラクスに告げた時、きっともう答えはあった。


だからこそラクスは苦しんでいた。







「わ、たくし…は―――わたくし、も…、キ‥ラを、っ」



「はい、ラクス様」



「‥あいして、る・・・愛してるっ」





お腹に手を当て、ラクスは泣き崩れた。ずっと夢に見てた。


夫を愛し夫に愛され、そして可愛い子どもを授かる。




絵本を読んであげたり、庭で遊んだり、歌を歌ったり。自分ができなかったことをしたい。






渇望し切望し、そして絶望していた未来。


もうそこまで来てる。





キラの心が嘘ではないと、彼のすべてが証明していた。


口からの偽りは得意な夫は、他は甘い。手が、瞳が、口以外のすべてが嘘は言えない。





だから嘘の愛にも気づいていた。


冷ややかな指や視線は心を傷付けてきた。けれど今のキラはすべてが熱く、そして優しい。





心を切り刻んできたあの鋭利な刃のような瞳は見なくなった。乱暴に触れてきた指は、労りに満ちている。


執拗に疑い続けてきたことへの答えは心以外の全てで理解していた。





キラはわたくしを愛している――心から、本当に。絶望して涙を流した初夜の日に願ったことが叶った。


有り得ないと否定し続けてきたお伽噺のように、わたくしは愛する夫から愛されている。






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