NO NAME
□Y-V
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『躯は大丈夫?』
美しい裸体を隠さずに現れた妻にキラは笑みを深くさせる。染み一つない白い肌は何人もの女を見てきたキラの目にも眩しく、その吸い付くような感触も心地好い。
『どこに行こうとしてたの?』
キラは片腕で妻を引き寄せ、背中から腰、そして丸い臀部へと手を滑らせた。
『んっ……の、喉が渇いて』
『ふぅん』
微かな刺激にピクンと反応する様が面白いのか、キラの手は動くのをやめない。
臀部から背筋を指で撫で上げ、膝頭でラクスの足の間を割っていく。
『じゃあこれでも飲む?』
『え?』
頬を赤く染め睫毛を揺らす妻の表情を楽しんだキラは持っていた瓶を呷り、ラクスの頤を掴んで唇を強く押し付けた。
油断していたラクスの咥内に温い液体が流し込まれる。そのまま舌を絡められ、ラクスは液体を飲み込んだ。
『ッぅ』
カッと焼けるような初めての感覚にラクスは目を見開き喉を抑えた。何を飲まされたのかわからず噎せてしまう。
『こほっ』
『なんだ。酒、飲めないんだ』
俯き噎せていると上から低い声が降ってきて、ラクスは身体を固くした。涙目で顔を上げると口角を吊り上げたキラと目が合った。
夫の戯れと酒で熱くなっていた身体が一瞬で冷めていく。
『つまんない』
―――ダメ、なの?
これが飲めない女だと、貴方に嫌われてしまうの?
わたくしには貴方しかいないのに。
貴方だけなのに。
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