NO NAME

□Y-U
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次期公爵の出産でヒビキ家本邸は慌ただしかった。執事長がキラを出迎えただけで後は走り回っている。






「お待ちしておりました」



「まだ外部に漏れていないみたいだね。屋敷の前に誰もいなかったよ」



「カガリ様はしばらくは静かに休養なさりたいそうですので、お披露目は未定ということです」





ヒビキ公爵家に嫡出の子どもが生まれる、これは王家に子が生まれるのと次ぐらいに騒がれる。


同じ貴族は公爵家との1番深い繋がり、つまりは姻戚を結ぶ相手の誕生に喜び、平民は次世代のヒビキ家の子に未来の国を自分たちの暮らしを夢見る。




ヒビキ公爵家は国王一家を生涯に渡って補佐し、国政においては宰相を務めている。


生まれた子が優秀な宰相補の母や、英雄である叔父のようになるのではと期待するのだ。










「うん。僕にもそっちのほうが都合がいいかも」




貴族からも平民からも、待ち望まれたヒビキ家の後継者。その誕生が外部に知れると身分関係なく祝辞を伝える客や祝いの品を持って来る者が屋敷に列をつくる。


こういったところが公爵家と他の貴族の家との違いだ。









「キラ様?」



話が見えないと執事は首を傾げるが、深く追求することはなかった。






「カガリは?会える?話があるんだけど、できればアスランも一緒に」



「――ただいまアスラン様はカガリ様のお部屋にお見舞いを申し上げている最中でございます。参られますか?」



「うん、そうするよ。それと大事な話だから人払いをしてくれるかな」



「かしこまりました」






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