月無夜

□月無夜
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第十八夜《偲ノ夜》









「たっだいまぁ〜〜」







ミーアが散らかした部屋をノロノロと気が進まぬ様子で片付けていたシンは、明るい声にその手を止めた。




化粧品やら服やら、余り触りたくない下着などを拾い集める作業は、シンにとって精神的にも疲れを感じる。







ミーアが帰って来てくれたことで、その面倒くさい仕事から解放されると心が軽くなり、顔を上げたシンは悲鳴を上げそうになった。



何故玄関では無くテラスから入って来たのか、考えるべきだったと後悔する。











「あ、片付けしてくれたの?ご苦労ご苦労」







にこやかに微笑むミーアに、シンの顔は引き攣った。



人気モデルの経験もあり、綺麗だなぁと感じていた元同級生の双子の姉だけあり、顔立ちは非常に整っている。




微笑む姿もどこか常人離れしている。


しかしその格好が問題だった。











「な、な、何なんだよッ!その格好はっっ」





「ああ。ちょっと汚れちゃったわね」







ミーアは髪や着ているワンピースを軽く持ち上げてはあっけらかんとした様子で言った。










「…ちょっと、って」






ちょっとどころの話じゃない。



シンは考え方まで常人離れしているミーアに言ってやりたくなった。





出かけて行った時は淡い黄色のワンピースを着ていたのに、今やその面影はない。



黄色のワンピースど同型のソレは赤黒く染まり、桃色の髪もところどころ赤黒く、白い肌には真っ赤な血が残されている。







一見すると大怪我でも負っているのかと疑うくらいの大量の血液に塗れているミーア。




しかし衝撃的な出会いと監禁生活のおかげで、その血の正体が返り血だと分かる。










「今日も殺して来たのかよ」




「そぉよ〜。悪い?」







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