絶対零ド

□絶対零ド
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「………はぁ」




「――皇女殿下」






ラクスから重たい溜め息が漏れ聞こえ、近くに侍っていたルレリアは眉を寄せる。



御前会議が終わり離宮に戻って来て以来、無言で考え事をしていたラクスが初めて発したのが溜め息だった。









「大丈夫ですか、殿下」




「…ルレリア」






自分の娘のことに続き、大御巫の問題。エピリアとの和平も全て片付いていないというのに、次から次へと頭を悩ませることが溢れてくる。








「――ミーアのことだけではなく、大御巫のこと、申し訳ありませんッ」





ルレリアはラクスの足元に跪づき、彼女の手を取った。ラクスの冷たい指先に眉を顰めながら、ルレリアは俯く。


エピリアとの和平や、森小屋にいた頃には学べなかったことについての補習、各地の税収、ジュリアナが領主となっていたフォーレイル地方の相続後の諸問題等に追われている間に、先手をとられてしまった。



補佐の役目にあるルレリアが気をつけていなくてはならなかったのだ。








今までの皇子の様子から、急を要することではないと甘く見ていた結果だった。












「申し訳ありまっ」





「――ルレリア、いいのです。わたくしはもう決めました」





「殿下っ」







道は残されていないのだ。




神権を手放すわけにはいかない以上、例え御前会議から締め出されることになっても大御巫に就任するしかない。









「――お母様も通った道です。次の大御巫はわたくしですわ」




「……っ、御意」








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