絶対零ド
□絶対零ド
3ページ/4ページ
キラはわたくしに総てを忘れさせようとした。
危険な存在。
直ぐにそれはわかった。
それでもキラを突き放せなかったのは、それほどわたくしの孤独が大きかったということ。
結局はわたくしの甘え、だった。
何も言わずに彼の前から姿を消したのだって、いつかまた出逢えたらと少し期待していたから。
別れの言葉一つで彼を失いたくないと、心の底で思っていたに違いない。お母様のためと豪語してはいても、願いが成就した暁にはキラと再会したいとさえ思っていたのだ。
キラが皇子として争う立場にいると解り、割り切ろうとしたけれど、完璧ではなかった。
キラと離れ、再び凍らせたはずの心をあっさり彼に見出だされ付け込まれてしまった。
甘かった。
キラだから、わたくしの知っているキラだからと、信じていたのだ。その甘さにつけこまれ、皇玉を奪われてしまった。
いよいよ覚悟を決めなくてはならない。
愛を捨て、キラを敵としなくてはならない。
最初から決まっていたことなのだから、もうこれ以上、我が儘を通すことはできない。
わたくしたちはお遊びをしているわけではない。
わたくしたちは、わたくしは戦争をしているのだ。
もう後ろは、振り返ってはならない。
キラ、貴方と同じように。
.