月無夜
□月無夜
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『‥特異点は、ここに集中しているのね』
アークエンジェルで霊力分布図を貰ったミーアは何百枚という資料と睨めっこし、数ヵ所に的を絞った。
カテゴリーB、上級怨霊が出る前には必ず周辺にいる、最厄の根源、カテゴリーA。
出現位置はいつもバラバラだがその前後の行動も視野に入れて調べたら、何回か同じ位置に特異点が記されていた。
『――お墓?』
暗い闇の中に、石が点々と置かれた場所。
墓地というには煩雑に置かれた、名前などはいっさい彫られていない石たち。
数ある石の横には花が一輪ずつ供えられ、その花のおかげでようやく墓かしらと思える、寂しい所。
『何故こんなところに』
そこは死んだ人を埋めているお墓、という印象より、死んだ人の数を示しているように感じる。石だけが死んだ者の証。
『‥‥こんな弔い方は、あの家しか‥ッ』
特徴ある弔い方は、ある退魔家の物に酷似し、ミーアは息を呑んだ。
実物は見たことはないが、噂があった彼の一族。
最期の一人も死に絶えたはずの家。
『っ、まずい‥わ』
花が添えられているということは、“生き残り”がいるということ。
そして、此処が、本当にその家の“術墓”ならば。
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