月無夜

□月無夜
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『……ぅ、っ!』










青龍であり聖龍が憑いた龍飛を使うことはかなり身体的に負担がかかる。






怪我はしていなくても身体のあちこちが痛いし、重い。











まだ霊力の使い方に慣れず、下手に気を緩めでもしたら死にそうになってしまう。








龍飛を継承して一週間、既に二回ほど死にかけた。










布団の中にいるか龍飛の扱いの練習しかできないない今、家を抜け出せない。





分家の連中が青龍に喜んで本家からいっこうに出て行かず、何かにつけて世話を焼いてくるために身動きがとれない。






それに、僕が行きたい所を快く思っていない者たちがほとんどで、監視がなかなか外れない。














儀式の時、ラクスは血まみれで倒れていた。





僕の服と巫女装束を真っ赤に染めて、ピクリとも動かなかった。






躯は氷ように冷たく、人形のように微動だにしない。






何が何だかわからなかった。




ちょっと前までは儀式で祝詞をこなし、僕の哀しみを掬ってくれていたのに。











それが大量の血液に塗れて動かない。







変化についていけなかった。






死んでいてもおかしくない、あの酷い吐血。






外傷はなかったのに。







躯の体内に何かあった証拠。








弱っていたとはいえ、汚れに触れただけでああなるのは理解できない。





他にナニか理由があるに決まっている。







でなければつじつまが合わない。








ラクスの命を喰らい続ける化け物がいる限り、本当に彼女は。













『……そんなこと、』








そんなこと、赦さない。







彼女は絶対に死なせない。















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