NO NAME

□T-U
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それからしばらくの間、ラクスはスロットマシンに集中して静かになり、キラも隣に立って様子を見ていた。








そして、ついに残るメダルは一枚になってしまった。





















「………………」






「――あー、最後の一枚になっちゃったね」







「……………………」















ラクスはただ黙ってじっとメダルを見つめ、微動だにしない。

















「早くそれも投入して、帰ろう?今度こそ本当にお金は無いからね。シホも待ちくたびれてるよ。お金全部使っちゃって、あと一週間どうやって生活するか考えなくちゃ。だいたい君は」















――――ゴキッ











小言を垂れるキラの頬に、ラクスは迷わず拳を減り込ませた。キラの表情が、減り込まれる前の呆れた笑顔のまま固まっている。



















「うるさい、お黙りなさい」









「……………」
















ラクスは左手をキラの頬から自分の前まで戻すと、メダルを握り締める右手を目の前に掲げた。呼吸を落ち着かせるために何度か深呼吸したラクスは、左手を握り締められた右手に翳す。





















「…………」







「………………」







「……………」







「………何やってるの?」







「…………………」







「……………ねぇ」















ラクスは椅子ごとクルリと振り向き、容赦なくキラの脛を蹴った。













「―――痛いよ」












地味に痛い脛に、キラは引き攣りながらも笑顔を崩さない。















「うるさい。今このメダルにパワーを注入していますの。静かになさって」











「……パワーって、いつから超能力者になったのさ」














脛を摩るキラを無視して、スロットマシンに向き直ったラクスは今度はマシンに手を翳した。




















「ああスロットマシンにもパワー注入?」







「‥‥‥‥」













ラクスは静かに目を閉じると、右手を手に向けて叫んだ。





















「――天におわしますギャンブルの神よっ!降臨したまえぇえーー!!」














それはもう素晴らしい気迫だった。





突如として雷鳴が轟き、ラクスを中心にして嵐が巻き起こり、彼女の手にそのギャンブルの神とやらが降臨してもおかしくないほど。















だがしかし、その時。












ピッ、ピッ、ピ……。

















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