絶対零ド
□絶対零ド
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第二十二話―嘘つき―
ラクス様が、死ぬ?
この男と結婚しなければ、この男が皇にならなければ、わたくしの主が殺される?
わたくしは、どうすれば。
――――――
「只今、元老院議員たちは論議に入っております。意見が纏まるのに時間がかかると思われますので御前会議での採決は10日後となりました」
ルレリアに元老院の議論を傍聴するように命じ退席していたラクスは、議事録に目を通しながら彼女の報告を聞いていた。
「エピリアが和平を望み、皇女殿下が賛成なさった以上、元老院側も下手な結論は出すとは思えません。わたくしども皇族勢力は皇女殿下側ですから、この案件は通ると思いますわ」
「………ええ」
皇位争いに突入しそうな現在の内政で、エピリアとの戦争は皇帝も望まないはずだ。本格的な戦争に入れば、国境に更なる帝国軍を派遣しなくてはならない。
内戦にまで突入してしまえば戦力は必要不可欠な要素だ。
皇軍を要する皇族勢力を味方につけている皇女がいる以上、皇帝は近衛をはじめ自分の権力下にある軍を動かしたくないだろう。
皇軍は皇族や有力貴族の子息たちで構成された精鋭部隊であり、近衛の将校に匹敵する者たちのよりすぐりである。
また有力貴族たちが多く所属していることもあり、実家にも私兵を有しているという者も少なくない。
地方の領主である家柄出身の者もいるため、数では劣るが、質は皇軍のほうが良いと言える。
兵役で無理矢理帝国軍に仕えるのとは違い、一人一人の兵が誇りと忠義を持つのが皇軍であり、近衛の精鋭たちと変わらない。
皇軍の士気は帝国軍を遥かに凌ぐと言われている。
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