絶対零ド

□絶対零ド
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「わかりましたか?」





「ええ。ありがとう、シン」









「――じゃ、離宮まで送ります」














ラクスの応えを聞き、シンは彼女の手を引いて立ち上がった。




















「皇女が護衛も何もつけないで、危ないですよ。文官ではありますが、送らせてもらいます」











「…まぁ」















シンにフードを被せられ、ラクスは笑みをこぼした。文官だと言い張るシンが可笑しかった。









文官は、マントの下に剣を隠しているはずがないのに。















久しぶりに、ラクスは笑えた。






























ばたばたと慌ただしい足音にシンは、石柱の影に隠れた。足音に聞き覚えのあったシンは、どうすべきか悩んだ。





ここで見つかれば夜中なのに眠る時間さえ与えられず小言を喰らう羽目になる。










そんなのは御免被る。










だが、小言を聞くだけの収穫はあった。






















「――!シン様ッ!!」










思い出し笑いをこぼしていた所、見つかりたくなかった者に見つかり、シンはゲッと思わず発した。





















「このような所にぃッ!!心配致しましたぞ!」








「ぅおいッ!!引っ張んなよ!」











石柱の影で胡坐をかいていたシンの後ろ衿を引っつかみ、ズルズルと引きずっていく男。



















「おいっ!聞けよ!!デュエインっ」











「…“団長”、とお呼び下さい」














エピリア国王名代、和平使団団長、デュエイン・ハルバートン。












十貴族の出身でエピリア国では名の知れた前王時代、近衛長官を務めた男だった。














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