絶対零ド

□絶対零ド
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「……我が国の事情?ああ、王太子殿下たちのことっすか」









「はい。申し訳ありません。あまり近隣諸国の王族のことは詳しくないのです」
















内輪の、正式な会談でないと考えたシンの口調はいっきに崩れた。







ラクスも固い口調にこだわるつもりもない。シンの素直な気質を感じ取り、笑みをこぼす。





















「皇女様は最近、宮に上がったそうですね。兄上に聞いてた通り。皇宮にいなかったなら、他の王家の事情は知れませんしね」











皇宮どころか貴族としての集まりにも顔を出して来なかったラクスは、自国の事情しか報告を受けてこなかった。




社交界に出れば、近隣諸国の王族の醜聞などすぐに知れるだろうが、そんな機会もなかった。













ラクスは、“クライン公爵が社交界にも出さず隠し可愛がってきた娘”と言われ、そしてその若さと美貌、血統の良さから、皇帝に見初められ召し上げられたとされた。



事実、準備に忙しく、小屋を出てクラインの屋敷に戻っても使用人や父以外とは接触していなかった。


























「我が国の国王エピリア、シャリア陛下はですね、10年前に即位されたんですよ。前陛下がググア攻略後崩御され、直ぐに」













エピリア王国第11代国王ガリアンは死ぬまで武将だったという偉大な王だった。








生涯で西五国のうち二つの国を撃ち破った、別名軍人大王。




















「シャリア陛下と王妃には長年御子がいなくてさ。でも陛下のお手付きとなった侍女にルパート王太子が生まれた。そして不幸にも王妃も三年後に懐妊され、キュリアン王子が」













侍女の生んだ王太子。





王妃が生んだ弟王子。













血統から言えば第二王子のほうが、次期王に相応しい。


















「王妃は十貴族の出身者で父上は軍部の長官。一方は側室の地位を貰っても侍女上がり。後継者問題で生まれて直ぐに立太子してたから、そのまま争いへいったわけです」














後ろ盾のいる第二王子と、何もない王太子。












反王太子派に軍部を掌握されているからこそ、今回の戦があった。













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