月無夜

□月無夜
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第十一夜《契ノ夜》












ヒビキ家の跡取り息子。




霊龍が宿った黒刀龍飛の1000人目の契約者に選ばれし、唯一無二の存在。









名を、キラ・ヒビキ。












今までクライン家だけが四神の一匹、朱雀を使役していた。











しかし、黒刀龍飛はいわくつきの刀であった。








その昔、初代龍飛の所有者であったヒビキ家の先祖は刀鍛治に一本の名刀を作らさせ、そして自らの術で霊龍を召喚した。













ある盟約のもとに召喚された霊龍は、鍛えられた刀に宿り、ヒビキ家に更なる繁栄をもたらした。









そして盟約が果たされるのは、1000人目の者と契約を交し、刀がその者の血を吸った時。










霊龍は1000人の術師たちの霊力によって大きな力を得る。



















霊龍は四神の一匹、東方を守護する青龍となるのだ。












最強のクライン家に相当する力を得る者に選ばれたのが、キラ・ヒビキだった。











キラ・ヒビキ本人も、陰陽師としての修行を積み、剣術師としてもクライン家姉妹を抜いてトップにたっている。













家柄、素質、実力、彼が青龍の主となることに、どの家も異論はなかった。












退魔一族の本家と謂われるクライン家との縁談もまとまり、曇りなどない光り輝く未来を用意されていたのが、俺の知るキラ・ヒビキだった。



















「俺は、お前を、赦さない」








光り輝いているはずのお前が、そんな感情を抱いているなど赦されるわけがない。
















太陽の下で暮らしてきたお前が、土砂降りの雨のなかにいるような顔をしているな。















腹が立つ。











そんな資格は、お前にはないのだから。














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