§Secret§
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一週間前、キラに時間と場所を指定されたレイは、カリブの島にラクスを迎えに行った。
その時には既にキラの姿はなく、ラクスだけが残されていた。
レイを目にし涙をこぼして嫌だと呟いたラクスは、そのまま彼に抱かれ本家に連れ戻された。
数日の間、泣き暮らしたラクスも何を思ったのか泣くのを止めたが相変わらず自室で引きこもっていた。
食事もちゃんと摂取していないことがメイドを通してレイに伝わり、こうして一週間ぶりに尋ねてきたわけだ。
レイがクライン財閥の娘と婚約したと公表され、メディアではなくともパーティーに顔を出すことになり、もう医者には戻れなくなってしまった。
これからはクライン財閥総帥の一人娘として相応しい生活しか許されない。
「……辛くなったら、直ぐに言うんだ」
ラクスは涙をこぼしながら、ゆっくりと頷いた。
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めそめそ泣くのは、止めた。
キラが何を考え、思って、レイを寄越したのかしらない。
でも、彼は指輪をわたくしに渡した。
何故。
それだけが不可解だった。
だからこそ、泣くのは止めた。
希望が持てたから。
昔とは違う。
昔は泣くだけで、何もできなかった。
泣いて、泣いて、ずっと泣いて。
ウィリアムの存在が分かるまでずっと泣き暮らしてた。
ウィリアムがお腹にいることを知って、やっと希望が持てたから泣くのを止めた。
生まれて来る我が子を守るために、留学を決め、秘密で出産しようとした。
指輪が希望。
少しでも希望が持てるから、心を建て直せる。
まだ指輪を見ると辛くなるけど、彼と同じ瞳だから。
傍にいてくれるから。
頑張って、頑張って、必死に言い聞かせてる。
大丈夫、大丈夫。
まだ頑張れる、頑張ってみせる。
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