§Secret§
□§Secret§
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もうどうにでもなってしまえばいい。
心が砕けてしまいそう。
辛くて、辛くて、バラバラに千切られてしまう。
キラ。
貴方は何故、こんな重いものを遺していったの。
こんな、重みを感じるだけで涙がでそうになるのに。
愛しさと憎しみと、哀しみが、渦巻いて苦しいわ。
痛いの、息ができないの。
貴方に近くにいてほしいのに、何故、いて下さらないの。
「――ラクス、朝食ちゃんと食べたか」
レイは手付かずで残っている朝食のトレイを目にし眉を寄せた。
声をかけた彼のお嬢様は、布団に包まり一言も声を上げない。
一週間前と同じ反応に傷ついた様子もなくレイは、フルーツの器を手に取りベッドに腰掛けた。
「いい加減に食べないと。……シーゲル様もご心配なさっている」
「…………れ、い」
「食べてくれ、頼む」
一週間ぶりに逢った婚約者は、また少し痩せていてレイは眉間の皴を深くする。
「……ずるいですわ。皴を寄せるなんて、反則です」
ブスっと眉間に人差し指が突っ込まれ、レイはやっとしかめっつらを直した。
少しでも元気が戻ってきたかと安堵の息を漏らしながら、レイはようやく笑みを見せる。
「――パーティーは明日だが、出れそうか?」
カットされた林檎にフォークを刺したレイはラクスに渡す。
逃げることができないと諦めているラクスは素直に受けとった。
「…出席しなくては、貴方の立場が悪くなります。大丈夫ですわ」
「そうか。もう平気なのか?」
レイの問いにラクスの表情が凍りついた。
それでもラクスは必死で笑顔を作る。
「……その、つもりで、頑張っていますの‥ッ」
青い瞳にはみるみる涙が溜まり、今にもこぼれ落ちそうになる。
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