§Secret§

□§Secret§
2ページ/7ページ




Episode.W<希望>











―クラシック界の至宝、バレルグループ御曹司、ピアニストのレイ・ザ・バレル氏、婚約ッ!!―











朝食のサンドイッチを噛まずに飲み込んだのは、恋に仕事に、ちょっと前までは余分な臓器であった虫垂に悩まされていたシン・アスカだった。






夜勤を終え、朝のニュースでも見ながら眠くなった頭をサンドイッチと缶コーヒーで覚まそうとした矢先、聞き捨てならぬ名前と単語を耳にし、パンとレタスとハムとチーズが喉に詰まりそうになる。










慌てて缶コーヒーを空けて口の中に流し込み事なきを得た。
















「はぁはぁ…レイが、こっ」









ゼェゼェと肩を上下しながら、興奮する芸能リポーターの言葉を繰り返してみる。




言い終わる前に、意味深の笑顔を見せて去って行った昔馴染みの顔を思い出し、アイツと小さくこぼした。










シンが記憶にトリップしている間も、どうやらレイのファンだったらしいリポーターは興奮しながら続ける。


















[――主にヨーロッパで活動しているバレル氏ですが、数々のコンクールで賞を総なめにしクラシック界では既に“至宝”と言われてたんです!!技術もさることながら、あの容姿に物腰から若い女性ファンもとても多くて、しかもバレルグループの御曹司とあって理想の王子様そのものなんですっ]










.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ