月無夜
□月無夜
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ラクスが倒れてから、もう二年が経った。
ラクスは屋敷から出ることができなくて、まるまる一年は部屋から出ることも叶わないほど、躯が弱り切ったしまっていた。
ラクスは朱雀を召喚することもできず、霊力をぎりぎりまで吸い取られ、何日も生死の淵を行ったり来たり。
涙が止まらなかった。
生まれた時からずっと傍にいる妹が、いなくなってしまう。
そんな未来なんかほしくない。
ラクスがいないなら、アタシだっていない。
ずっとそう想って生きてきた。
ラクスとアタシは一つ。
一つの卵が二つに分かれ、それでもずっと一緒。
ママがいなくなっても、パパも仕事でいなくても、ラクスだけはずっと傍にいてくれる。
ラクスだけは何があっても、決してアタシを裏切らない。
ラクスは裏切れない。
ラクスは絶対、絶対、アタシから何かを奪おうとはしない。
奪うことはない。
だから。
だから、絶対に大丈夫。
絶対に、大丈夫、よね?
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